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音符に込めた思い~自分らしい表現とは? [♫ 現場より…]

大阪音大のマスターズコンサートが無事に終わりました。

3人のソリストは、みな本番がベストでした。それだけでも素晴らしいことだと思います。
演奏家もアスリート同様、本番に向けて技術だけでなく心(気持ち)のコントロールをして、最終的には「ある部分はハイ、どこかにクールなところを残して」という具合にもってこなくてはなりません。
2回の練習を通じて「オーケストラと対等に演奏ができるか、自分の表現が思い通りにできるか、その表現がオーケストラに対しても説得力があるか」そんなことを磨いていくわけですが、その過程をどれだけ自覚でき、限られた時間をプラスの方向に使うことができるかどうか、がカギになります。

学生など若いソリストと協奏曲を協演することは多いのですが、私にとっても大きな刺激になります。
今回も“自分なりの演奏”ということについて考えさせられました。

ほぼひと月前に3人とはピアノ伴奏で打ち合わせをしたのですが、その時には「オーケストラとの演奏ではしてはいけないこと、できないこと、危険なこと」だけは指摘をし改善を求めましたが、表現についてはできるだけ尊重して、「?」があってもあまり修正しませんでした。
今回の練習初日、3人とも一生懸命自分の表現をしようと頑張っていましたが、思い通りにいくところといかないところがあることにみんな気付いたと思います。 私からもやんわり指摘しておきました。
それはたいてい、楽譜に書かれていないことをやろうとしている部分です。 つまりテンポを遅くしてみたり強弱を変えてみたり、少しだけと書かれているのをたくさんやってみたり・・・

2日目の練習でみんなそれぞれ改善案を持ってきました。 自分なりの表現がうまくできるところは、やはり楽譜に書かれていることを尊重している部分です。 最終的には、3人とも楽譜に一番近い演奏をして自分が音符に込めた思いを表現し尽しました。 オーケストラもほとんど無理がなく協演することができました。

指揮をしながら私は、昔の自分を思い出していました。
「何とか自分なりの表現をしなくては!」と必死に考え工夫し譜面をいじくりまわしていた時代があったなぁ。 自分が作曲家よりも偉くなったように勘違いしかかったこともあったなぁ。 結局のところ、楽譜に書かれた通りに演奏して、そこに最大限の音楽性とメッセージを込めるのが「勝負」だと悟るまでに、結構な時間を要したなぁ。
でも、この歳になってみると「楽譜に忠実である」ことより「自分らしい表現」を優先させても“オーケストラの奏者をはじめ万人が納得する説得力”があるなら、音楽の神様に怒られないかもしれない・・・
そんな瞬間が時々あってもいいかなぁ? と、ちょっぴり思うようになりました。

3人のソリストを盛り上げようと練習時から誠実な演奏をしてくれたオペラハウス管弦楽団、いつもながらに頭が下がります。 今晩は演奏後にオーケストラにもたくさんのBravo! が飛びました。 結構嬉しかったです。
2010/07/08 23:47 小田野宏之

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