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ミューザ川崎市民交響楽祭 2010 終了 [♫ 現場より…]

2,000人弱収容のミューザ川崎、満員というわけにはいきませんでしたが、大勢の方においでいただいて一応成功裏に終えることができました。
まずはオーケストラの健闘を称えたいと思います。

「禿げ山の一夜」と「展覧会の絵」のように“ストレートな表現でアグレッシブに弾く事を求められる曲”に挟まれてモーツァルトを弾く事は、特に弦楽器にとってはおそらくプロでも難しいのではないでしょうか。 「発音」を含めた技術的なスイッチ、同じ音符をモーツァルトの様式に則って読むスイッチ、心身の余分な力を抜いてモーツァルトの音楽に身も心も委ねるスイッチ などを自然に切り替えなければならないのですが、これが簡単ではないのです。
今回はオーケストラのスケジュールその他の様々な事情で、モーツァルトの練習時間が絶対的に少なかったのですが、指揮者もオケも全て底が見えてしまうモーツァルトを前にして、できる限りのことはしたつもりです。 弦楽器の編成を縮小したのもプラスマイナス両面で奏者に影響を及ぼしたかもしれませんが、本番では私が理想とする(そうあるべきだと信じる)モーツァルトの音楽のスタイルにずいぶん近づいたのではないかと自負しています。

また「良い響きのホールで演奏する事」はオーケストラにとってどれほど大切なことか、今回もあらためて考えさせられました。

贅沢な事に、本番前日の夜のリハーサルはホールでやることができました。 麻生フィルがいつも練習場として使わせていただいている幼稚園の大部屋は、オーケストラがみんなで音を出すとすぐに飽和します。 本番会場としていちばん多く使う麻生市民館は、生の音で響きを作り音色の融合をはかる環境にはほど遠いものです。
ミューザで何回か本番をやっているとはいえ、麻生フィルの皆さんにとって「慣れている」とはまだまだ言えないあの空間で音を出すと、「いつも」とあまりに違う響きやお互いの距離感に面食らって、発音もアンサンブルもずたずたになるのは当然の事。 それでも大抵は10分ほどで落ち着くはずなのですが、今回は30分以上引きずりました。
巨大な空間に自分の音が飛び立っ ていくことには何とか対応できても、他のパートの細かい音が聞こえなくなることについてはどうしようもなかったようで、各楽器のセッティング(座る場所や向きなど)を微妙に調整しつつリハを進めましたが、結局21時の練習終了まで戸惑いは消えることはありませんでした。

しかし、さすが経験を積んでいる「大人の」市民オーケストラ、当日の10時からのリハーサルでは、まるで別のオーケストラのような見事な演奏に変身していました! 前日リハと違い『禿げ山』から音を出したことが良かったのかもしれません。 それでも様々な修正には時間が必要で、予定されていた2時間をみっちり使い、体力的に本番に負担にならないように気を遣いながら、ミューザとの一体感を目指して指揮者とオーケストラとは最後のリハに火花を散らしたのでした。

本番は立派な演奏でした。 麻生フィルとは「大人の付き合い」ができることを再認識しました。
お客様も楽しんでいただけたようで、気持ちのこもった拍手が嬉しかったです。

ただ、曲の最後の音が終わるや否や間髪を入れずに掛かる「ブラヴォ!」には閉口しました。 まるで30年前に戻ったような気分。 あの頃は「TBS (Tokyo Bravo Service)」がいて、誰よりも早く「ブラヴォ!」を叫ぶことが流行っていましたっけ…
今回の「展覧会」では最後の「ジャン!!」が消える前に声がかかり、エキストラで出演していた某プロ奏者は思わずステージから声の主を睨みつけたそうです。 そのオジサンも睨まれたことに気づいて二人は目が合ったそうですが、きっとオジサン、睨まれた意味はわかっていないだろうな。
2010/07/20 11:38 小田野宏之

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